塩谷靖子のCDアルバム『慕わしき面影』発売中。

タイトル:慕わしき面影 〜ジャンルを超えた歌が織りなす物語〜

ソプラノ:塩谷靖子

ピアノおよびアレンジ:奥千歌子

品番:YZBL-1057

定価:2700円(税込み)

発売元:及川音楽事務所

販売元:クラウン徳間ミュージック販売(株)

購入方法

お近くのCDショップでお求めください。在庫がない場合には取り寄せてもらえます。
インターネットの通販サイトからも購入できます。
塩谷靖子が出演するコンサートでも販売しています。
また、及川音楽事務所からも送ってもらえます。

及川音楽事務所
電話 070-5592-6402
ファックス 03-3981-6052
郵送料は、2枚までが300円、3枚以上が500円

 

ジャケット画像慕わしき面影

タイトルは、この世を旅立った人たちや、もう会えなくなってしまった人たちへの愛惜の念を表しています。華やかではないけれど無心に密やかに咲く花々の歌、さだまさしさんの名曲、私が来し方を振り返りつつ独自の日本語詩を付けたカンツォーネなど、愛唱歌からクラシックまでの21曲が収録されています。奥千歌子さんによるピアノとアレンジが、温かさや切なさを盛り上げています。最後に、私が作詞・作曲し、2005念に録音した「紙細工」が収録されています。これは私のソプラノ、娘のピアノ、息子のギターによるものです。

以下、CDのブックレットより

 


 

CDに寄せて 〜塩谷靖子讃〜

塚田佳男(伴奏ピアニスト)

 

塩谷さんのうたう日本の歌を初めて聴いたのは、もうかれこれ二十年以上も前になろうか。それ以来、折に触れて耳にしてきているが、いつもじっくりと心に響いてくる歌を聴かせてくれる人だった。

今回のCDも、どの歌もみんな暖かく、やさしく心に沁みてくる。その沁みてくる要素のひとつは、なんといっても日本語の言葉の語尾の処理の仕方がうまいことである。彼女はそれをごく自然に美しくやってのけているが、日本のクラシック歌手の日本語はなかなかこうはいかないのである。それともうひとつは、長く伸ばす音のデクレッシェンドが素晴らしく、単にテクニックとしてのデクレッシェンドではなく、それこそ心に沁みるデクレッシェンドなのである。そして色々なジャンルの歌があるのに、彼女がうたうとジャンルの違いを感じさせないで、すべてあるがままの彼女の“歌”となっている。

それに、彼女の訳詞がまた素敵!カンツォーネなんかではなく、始めから彼女の詩に作曲された歌のように聞こえてきて、これまたやるせないほど心に沁みてくる。だから「忘れな草」などは、リフレインも訳詞のままうたってほしかった(ゴメンナサイ)。

ともあれ、長年のパートナーである奥千歌子さんの大らかで誠実なピアノに乗ってうたう塩谷さんのこのCD、まさに彼女のこれまでの歌人生の集大成であろう。

 


 

収録曲(ジャケットより)

 

沖縄の風と波

沖縄は、2014年に癌で亡くなった夫・塩谷治が、生涯にわたって思い続けた場所でした。沖縄出身で、早稲田大学時代に治と同級だった真喜屋実蔵(まきやじつぞう)さんは、遊んでいた不発弾の暴発により、9歳で失明しました。その後、文学を学びたいという夢を持って、復帰前の沖縄から上京し、大学に入りました。しかし、点字の教科書や参考書など皆無に近かった当時のこと、夢と現実との落差に絶望した彼は、若くして自らの命を断ちました。友を救えなかった無念をきっかけに、治は東京を中心とした点訳グループを立ち上げ、その後、盲学校の教師になりました。2013年の4月、主治医の許可を得て、二人で沖縄へ行きました。雑草に埋もれた真喜屋さんの墓前で合掌したとき、二人で沖縄に来るのも、これが最後になるであろうことを、私たちは感じていました。沖縄の4月はもう夏、そこここでデイゴの花が咲き始めていました。そんな沖縄への思いを歌います。

 

1.花 喜納昌吉 作詩・作曲

2.芭蕉布 吉川安一 作詩 / 普久原恒勇 作曲

3.さとうきび畑 寺島尚彦 作詩・作曲

 

 

無心に・密やかに

華やかに咲き誇る花もいいけれど、いつのまにか咲き、振り向いてくれる人だけに語りかけ、知らぬまに散っている、そんな花のほうに愛着を感じます。

 

4.野薔薇 三木露風 詩 / 山田耕筰 作曲

5.ねむの木の子守歌 美智子皇后陛下 詩 / 山本正美 作曲

6.さざんか 藪田義雄 詩 / 猪本隆 作曲

7.庭の千草 里見義 訳詩 / アイルランド民謡

 

 

愛のゆくえ

愛の芽生えから結婚、そしてスイートホームまでの流れを表してみました。「君を愛す」の歌の部分と、「祝婚歌」のピアノの部分には、偶然にも似たフレーズが出てきます。並べて歌うと、おしゃれな感じになるので、2曲ともハ長調で歌ってみました。

 

8.しぐれに寄する抒情 佐藤春夫 詩 / 大中恩 作曲

9.ただ憧れを知る人だけが ゲーテ 詩 / チャイコフスキー 作曲

10.君を愛す アンデルセン 原詩 ホルシュタイン 独語訳 / グリーグ 作曲

11.祝婚歌 宮澤章二 詩 / 湯山昭 作曲

12.埴生の宿 里見義 訳詩 / ビショップ 作曲

 

 

慕わしき面影

この世を旅立った人たち、そして、もう会えないかもしれない人たち。そんな、慕わしい家族や恋人への思いは、いつまでも消えることがないでしょう。

 

13.無縁坂 さだまさし 作詩・作曲

14.ママ 塩谷靖子 日本語詩 / ビクシオ 作曲

15.精霊流し さだまさし 作詩・作曲

16.マギー若き日の歌を 堀内敬三 訳詩 / バターフィールド 作曲

17.ふるみち 三木露風 詩 / 大中恩 作曲

18.忘れな草 塩谷靖子 日本語詩 / デ・クルティス 作曲

19.追憶 塩谷靖子 日本語詩 / イノチェンツィ 作曲

20.カタリ・カタリ(不実な心) コルディフェッロ 詩 / カルディッロ 作曲

 

 

親子の記念に

久しぶりに3人がそろった折、私が口ずさむこの歌に合わせて、ピアノとギターを付けてもらっているうちに、2日ほどで出来上がった曲です。多感な若者の心情を表したつもりです。2016年に、NHK「ラジオ深夜便」で放送されたとき、多くの方々からご好評をいただきました。ソプラノは塩谷靖子、ピアノは塩谷多衣(娘)、ギターは塩谷純一(息子)です。(録音は2005年8月)

 

21.紙細工 塩谷靖子作詩・作曲

 

 

塩谷 靖子(しおのや のぶこ) ソプラノ

1943年生まれ。7歳で失明。東京教育大学附属盲学校(現・筑波大学附属視覚特別支援学校)を経て東京女子大学文理学部数理学科卒業。プログラマーとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社、視覚障害プログラマーのさきがけとなる。点字変換用のソフトを開発し、日本で初めて、コンピューターからのデータを点字で紙に打ち出すことに成功する。42歳で声楽を始める。東京文化会館小ホールでのリサイタル等、出演多数。NHK「ラジオ深夜便」(2007年および2016年)、NHKテレビ「ひるまえほっと」、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」、毎日新聞「ひと」欄、各種雑誌等、多数のメディアに取り上げられる。第6〜8回「奏楽堂日本歌曲コンクール」入選、「太陽カンツォーネ・コンコルソ」(クラシック部門)第1位、「全日本ソリスト・コンテスト」入賞、他。レパートリーは、クラシック、ポップス、愛唱歌など幅広い。CDに『わかれ道』、『千の風U』、『慕わしき面影』。エッセイストとしても活動。「小諸・藤村文学賞」入選、「文芸思潮エッセイ賞」最優秀賞、他。「2010年版ベスト・エッセイ集」(文藝春秋)、日経新聞文化欄、月間PHP等にエッセイが掲載される。著書に、第58回日本エッセイスト・クラブ賞最終候補作『寄り道人生で拾ったもの』(小学館)。東京室内歌劇場、日本エッセイスト・クラブ、他会員。ホームページに、コンサート予定やエッセイを掲載。

 

 

奥 千歌子(おく ちかこ) ピアノ

幼少より母からピアノの手ほどきを受ける。小学生の時にNHK教育テレビ「ピアノのおけいこ」に生徒として出演するが専攻するには至らず。高校時代より声楽を始め、東京藝術大学音楽学部声楽科入学。同大卒業後、伴奏を志し渡墺、ウィーン国立音楽大学声楽伴奏科入学、優秀賞をもって卒業。帰国後2016年度まで伴奏員として、また非常勤講師として東京藝大に勤務。その後も声楽や合唱の伴奏を中心に活動している。奏楽堂日本歌曲コンクール優秀共演者賞受賞。声楽を佐藤暉子、戸田敏子、ベルティ・ブレム=マンデル、ピアノを竹尾聆子、ミヒャエル・クリスト、伴奏をロベルト・ショルム、ロマン・オルトナーの各氏に師事。
現在、東京室内歌劇場器楽会員。

 

 

このCDの製作にあたり、多くの点字楽譜利用者のために楽譜点訳を続けられている長谷川明子さん他、楽譜点訳グループの皆様に、心からの感謝を捧げます。(塩谷靖子)